前々回の記事から始まった、ホラー映画の悪役たちが大集合したイラスト、どの映画の誰なのかを解説していきます。まだまだ先は長いですね・・今回は上から三段目の面々についてです。
ちなみに、一番左の、首を噛まれてぐったりしてる男は、うーんなんだろう、と途方にくれていたのですが、本投稿の返信コメントによると、「これはただの『被害者』だよ」ってことでした。なんそれ!
ではスタートしましょう!
オルロック伯爵『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)
紙カップでコーラを飲んでる顔色の悪い男は、『吸血鬼ノスフェラトゥ』に出てくるヴァンパイア、オルロック伯爵です。人の生き血を吸う彼は、日の光が天敵なので昼間は棺で眠ります。
本作は20世紀初頭にムーヴメントが置きた「ドイツ表現主義」であると分類されています。映画においては、現実を切り取ったものを再現するということにとらわれず、人の内面や精神を描くためにハイコントラストで主観的なデフォルメをするあたりが特徴的でした。
ババドック『ババドック〜暗闇の魔物〜』(2014)
シルクハットをかぶった大きな口のモンスターは、絵本から飛び出してきたババドックです。母子2人で暮らす家に現れて、ついにお母さんの精神を乗っ取ります。
育児における不安や閉塞感のようなもののメタファーと捉えることもできる巧みな話。そのストーリーテリングが広く評価され、世界中の映画祭にノミネートされました。
デイヴィッド『ロストボーイ』(1987)
金髪でこちらをじっと見据える男は、『ロストボーイ』に出てくるヴァンパイアのひとり、デイヴィッドです。吸血鬼伝説を現代に置き換え、パンクでスタイリッシュなテイストに仕上がりました。
『バットマンフォーエバー』などのジョエル・シュマッカー監督の出世作です。デイヴィッドを演じたのは、まだ無名時代のキーファー・サザーランドでした。
ペニーワイズ『IT/イット”それ”が見えたら、終わり。』(2017)
その隣の邪悪なピエロは、ご存知ペニーワイズですね。ホラーの巨匠、スティーヴン・キングが1986年に発表した小説が原作の映画に登場するモンスターで、このメイクは、1990年版ではなく、2017年のリメイク版のようです。子どもたちの恐怖そのものに姿を変える能力を持っています。
演じたのはイケメン兄弟の弟、ビル・スカルスガルド。彼らの父親は『ドッグヴィル』や『マイティ・ソー』のステラン・スカルスガルドです。
ジャック・トランス『シャイニング』(1980)
チェックのシャツにエンジ色のジャケットを羽織った男は、売れない小説家、ジャック・トランスです。妻と息子といっしょにオーバールックホテルの冬季管理人として滞在しますが、次第にホテルに取り付いた邪悪なものに取り込まれてしまいます。
こちらも原作はスティーヴン・キングですが、スタンリー・キューブリック監督の手による本作は、キングのお気に召さなかったようで、酷評しています。演じたのはジャック・ニコルソンでした。
山村貞子『リング』(1998)
三段目の右端は、日本代表、『リング』の貞子です。過去に非業の死を遂げた超能力者の彼女は、呪いをビデオテープに念写することで、現代においてもその呪いの感染者を増やすことに成功しました。
Jホラーの立役者・中田秀夫が監督して大ヒット。奥ゆかしい、日本特有の「見せない」恐怖が海外でも話題となり、ハリウッドでもリメイクされ、すでに3作品が作られています。