2021年8月24日、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告編が公開されました!
今シリーズは、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)に続いて3作目です。
スパイダーマンは、もともとマーベル・コミックに出てくるキャラクターではあるものの、ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント社が映画化の権利を所有しているため、かねてから独自路線の単独映画が作られてきました。
近年では、サム・ライミ監督によるシリーズが2002年〜2007年に公開されて、全世界で大ヒット。ピータ・パーカーをトビー・マグワイヤ、ヒロインMJはキルスティン・ダンストが演じました。
その後、サム・ライミが監督を降板したことにより、ソニー・ピクチャーズは、これまでの続編ではなく、刷新した作品を作ることを決定、2012年〜2014年にマーク・ウェブ監督により、2本のリブート版が公開されました。こちらのピーター・パーカー役は、アンドリュー・ガーフィールド。ヒロインのグウェン・ステイシーを演じたのはエマ・ストーンです。
しかし、その後、マーベルとソニーが提携を結んだことにより、『アイアンマン』(2008)から始まったマーベル・シネマティック・ユニバースに、ついにスパイダーマンが電撃参戦することに。ピーター役にはトム・ホランドが抜擢され、MJ役はゼンデイヤが務めています。
以上のように、何度も作り直されてきたわけで、3パターンの映画はそれぞれあくまでも「別の世界」の話でした。しかし、今回の予告編には、サム・ライミ版の『スパイダーマン2』(2004)に出てきた、ドクター・オクトパスの姿が。しかもそれを演じるのが、当時と同じ、アルフレッド・モリーナです。これは、これまでの映画界ではありえない「掟破り」であり、ファンたちの間で話題になっています。

前置き長いよ!
そこで今回は、これまでピーター・パーカーを演じてきた、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、トム・ホランドが出演するおすすめの映画をご紹介します!
『サイダーハウス・ルール』(1999)
1940年代のアメリカの田舎にある孤児院。ラーチ院長は、子どもたちを育てながら、望まれない妊娠をした女性を助けたいという志のもと、堕胎手術を行っていました。もともと孤児だった青年のホーマーは、これまでになかなか里親にもらわれず、いまではラーチの助手として医師と同等の技術を身につけていました。ある日、陸軍の中尉であるウォリーと恋人のキャンディが来院、手術は成功して帰ることに。外の世界に憧れていたホーマーは、一緒に連れて行って欲しいと懇願します。そしてそのままウォリーの実家のリンゴ農園で働き始めます。やがて太平洋戦争が激化し、ウォリー中佐はアジアへ出兵。ホーマーは、残されたキャンディと恋愛関係になるのでした。
アメリカ現代文学の代表的な作家のひとり、ジョン・アーヴィングが原作となる小説を発表。そしてアーヴィング自ら脚本も手掛けました。暗い時代の、シリアスな要素の多いストーリーであるはずなのに、どこか優しい視点で語られ、観終わったときになんとも言えない暖かさを得られる映画です。
こちらは、サム・ライミ版の主演だったトビー・マグワイアの出世作です。共演は、ラーチ医師役にマイケル・ケイン。元祖の『ミニミニ大作戦』(1969)やブライアン・デ・パルマの『殺しのドレス』(1980)などで主演を務めた大御所で、近年では『ダークナイト』(2008)や『インターステラー』(2014)などクリストファー・ノーラン監督作にレギュラー出演しています。また、キャンディ役には、当時はまだまだ売出し中だったシャーリーズ・セロンが抜擢。ウォリー中尉は、のちに『アントマン』(2015)のスコット・ラングを演じることになるポール・ラッドでした。
『華麗なるギャツビー』(2013)
1920年代、狂騒のアメリカ。ニック・キャラウェイはロング・アイランドのウェスト・エッグに住んでいます。大学からの友人のトム・ブキャナンは横柄で血気盛んな金持ちで、その妻のデイジーはニックの親戚でもあります。しかし、トムの浮気癖もあり、その夫婦関係は冷め始めていました。ある日ニックは、お隣の大邸宅のパーティに招待されます。そこでは、ニューヨーク中の成金が集まりどんちゃん騒ぎを繰り広げていました。話に聞くと、そのホストは、謎の男で誰も観たことがないようです。しかし、パーティ中にひとりの紳士が彼に接触してきます。それが屋敷の持ち主、ジェイ・ギャツビーでした。彼はニックに対し、ある秘密を打ち明けます。それは、デイジーとかつて恋愛関係にあって、その後戦争のため疎遠になってしまったが、ひと目だけでいいのでもう一度会いたい、ということでした。彼の不思議な魅力に取り込まれたニックは、協力を承諾します。
こちらは、F・スコット・フィッツジェラルドが執筆し、1925年に出版された小説が原作。1974年にはロバート・レッドフォード主演で映画化されており、さらにその前1949年、1926年にも映画化されている作品です。ラブストーリーでもありサスペンスでもあり、恋慕や嫉妬や、焦燥や絶望や、人間が感じるややこしい感情がエネルギッシュにつめこまれ、伏線が結末に向かって吸い込まれていく、見事なストーリーです。
主演のニック・キャラウェイを演じたのがトビー・マグワイヤ。彼は、どちらかというと主体的に行動するというよりは、状況に巻き込まれる役がまさにぴったりでした。
ギャツビーを演じたのは、レオナルド・ディカプリオです。『バスケットボール・ダイアリーズ』(1995)や『タイタニック』(1997)などで一気にスターに駆け上りますが、当時はまだ「美少年」という扱いでしたものの、『アビエイター』(2004)のころから一気に「凄み」が出て、本作でもどこか危険な謎の男を的確に演じています。デイジー役は、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020)がヒット中のキャリー・マリガンでした。
『わたしを離さないで』(2010)
不治の病の治療方法が確立した世界の話。全寮制の学園・ヘールシャムで暮らす、キャシーとルースとトミーの3人は、生まれたときからの友達同士です。彼らは、「保護官」と呼ぶ先生たちから勉強を教えてもらい、健康に育てられていました。しかしその施設は、外界とは完全に隔離されており、何かが隠されている奇妙な空気が漂っています。「あなたたちの人生の目的は臓器提供をすることです」と伝えた新任の教師は、その後すぐにいなくなってしまいました。数年が過ぎ、18歳になったトミーはルースと恋人関係になっています。キャシーはトミーに淡い恋心を抱いていましたが、それを心に秘めたままの彼女は、臓器提供者の「介護人」になることを目指すのでした。
こちらは、2017年にノーベル文学賞を受賞した、カズオ・イシグロの小説を原作とした映画です。主人公たちはクローンで、病気の治療のための臓器を提供するために、いわば培養されているわけですね。そんな、SFミステリーの様相もありながら、クローンたちの機微な感情を丁寧に描いた、不思議な余韻が残る作品でした。

日本でドラマ化もされてたね〜
アンドリュー・ガーフィールドは、主演3人の1人のトミーの青年期を演じました。キャシーは前述のキャリー・マリガン、ルースは『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)や『つぐない』(2007)のキーラ・ナイトレイが演じています。
また、施設の校長には、ロバート・ミッチャム版のフィリップ・マーロウシリーズ『さらば愛しき女よ』(1975)やシドニー・ルメット監督の『評決』(1982)に出演の大女優、シャーロット・ランプリングが、新任教師役には『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)のサリー・ホーキンスという、本格派の面々が脇役を担っています。
『ソーシャル・ネットワーク』(2010)
ハーバード大学に在学中のマークは、恋人にふられた腹いせで、大学寮のデータベースに侵入して女子学生たちの写真を集め、彼女らの見た目を格付けするという下世話なウェブサイトを作ります。それはその晩中に口コミで伝わり、ついにはアクセスが集中して、大学のサーバーをダウンさせる事態になりました。彼は大学に呼び出されて処分を受けることになりましたが、一方でそのITスキルを買われ、ボート部に所属するエリート学生・ウィンクルヴォス兄弟に、ハーバードブランドの出会い系サイトの作成を依頼されます。しかし彼は、それを進化させたSNSサービスを友人のエドゥアルドと共に水面下で開発を進め、ついにThe Facebookを誕生させるのでした。
言わずとも知れた世界的企業・FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグを描いた作品です。偉人の一代記を語る映画は数多く存在しますが、本作は、今もなお成長し続けている企業の、まだまだ若い天才が題材であり、その同時代性が新鮮でした。
監督は、『セブン』(1995)や『ファイト・クラブ』(1999)のデヴィッド・フィンチャーです。精緻に映像を作り込む完璧主義者として有名です。脚本は、政治的なストーリーを時系列を巧みに組み替える手法が評価されているアーロン・ソーキン。『シカゴ7裁判』(2020)では監督業も務めています。
マーク・ザッカーバーグ役はジェシー・アイゼンバーグ。『ゾンビランド』(2009)『グランド・イリュージョン』(2013)などのシリーズにも主演しています。そして、その友人であり共同経営者で、のちに対立することになるエドゥアルド・サベリンを演じたのが、まだ初々しいアンドリュー・ガーフィールドでした。
『悪魔はいつもそこに』(2020)

NETFLIX限定なのでAmazonに画像がなかったよ!
太平洋戦争からの帰還兵、ウィラードは、オハイオ州ノッケンスティフという田舎町で、恋愛関係になったシャーロットを妻を迎えて暮らし始めます。敬遠なキリスト教の彼には、他人から馬鹿にされると手段を選ばずに復習する暴力的な側面もあり、息子のアーヴィンにも、その思想を強要していました。やがて、シャーロットが不治の病に侵されます。ウィラードは大切な飼い犬を殺して髪への生贄としますが、あえなく妻は死亡し、彼も後を追って自殺してしまいました。時は経ち、アーヴィンは家族思いの青年に育っていました。ウィラードの両親と、そして凄惨な事件によって孤児となったレノーラを家に迎えて、一緒に暮らしています。ある日、町に新任の牧師、プリストンが着任したことで、それぞれの運命が大きく動き出すのでした。
厳格な宗教に囚われた田舎の閉塞感の中で、暴力の連鎖に呪われてしまった若者たちを描いた群像劇でした。いままさに売出し中の若手俳優たちが、存分にその実力を発揮し、見ごたえのある作品となっています。
3代目ピーター・パーカーのトム・ホランドが堂々と主演のアーヴィンを演じます。父親のウィラード役は、『IT/イット”それ”が見えたら、終わり。』(2017)でペニーワイズを演じた、ビル・スカルスガルド。レノーラの母親は、子役時代に『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)に抜擢されたミア・ワシコウスカ。父親は『ハリー・ポッター』でダドリーを演じていたハリー・メリング。そしてキーパーソンであるプリストン牧師は、『トワイライト〜初恋〜』(2008)や『TENETテネット』(2020)のロバート・パティンソンが演じました。