『オールド』公開記念 いたるところから酷評されたM・ナイト・シャマラン監督の残念映画5選!

映画

2021年8月27日、『オールド』が公開されます!

人里離れたビーチで、自分たちが急速に年老いていく事に気付く、という予測不能なパニック映画です。

監督は、M・ナイト・シャマランです。ブルース・ウィリスハーレイ・ジョエル・オスメントが出演したホラー映画『シックス・センス』(1999)が大ヒット。その後の『アンブレイカブル』(2000)では、アンチ・ヒーローの宿命を描き、その独特リズムで描く世界観が絶賛されました。

シックス・センス・・まさか○&#*¥E<●だったなんて・・!びっくりしたよね!

しかし、その後のシャマランは、更に独自路線に突き進み、その個性を鋭角に研ぎ澄ませていった結果、いくつかの作品では観客や批評家から賛同を得ることができませんでした。今回は、そんなM・ナイト・シャマラン監督の、当時は一般的な評価が低くなってしまった残念な映画をご紹介します!

『サイン』(2002)

かつては牧師だったグラハムは、妻に先立たれ、息子と娘、弟と4人で農園に暮らしていました。ある日、彼が広いトウモロコシ畑に、茎がなぎ倒されて作られた巨大なミステリー・サークルが出現します。最初は近所の子供たちのいたずらかと思って気に留めなかった彼らでしたが、近辺の動物たちが凶暴化したり、夜中に何者かの影を見たり、不自然な出来事が続くのでした。

シックス・センス』のどんでん返しがあまりにもインパクトがあったためか、シャマランのその後の映画においても、同等の仕掛けが求められるようになっていました。本作が「宇宙人の兆候」を題材にしていることから、当時の観客たちは「それらの原因は実は宇宙人ではないのでは?」いった先入観を拭うことができませんでした。果たして真相がどうだったのかは、ぜひご自身の目で確かめてください。

アルミホイルをかぶった子どもたち、シュールだったな〜

主演は、『リーサル・ウェポン』(1987)や『ブレイブハード』(1995)などのメル・ギブソン。アクション大作からシリアスまで何でもこなす名優です。小さな妹を演じたアビゲイル・ブレスリンは、その後『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)で10歳にしてアカデミー賞にノミネート。現在も『ゾンビランド:ダブルタップ』(2019)などで女優として活躍中です。また、『ジョーカー』(2019)の怪演が記憶に新しいホアキン・フェニックスが、元プロ野球選手で、どこか天然なのにシリアスが空気感は壊さないという、不思議な弟の役を演じています。

『ヴィレッジ』(2004)

暗い森に囲まれた小さな村、そこでは厳しい掟で縛られた世界です。それは、「その森に入ってはならない、<彼ら>が待っている」「不吉な赤い色を封印せよ、<彼ら>を呼び寄せる」「渓谷の鐘に注意せよ、<彼ら>がやってくる」というものでした。村に住む真面目な若者であるルシアスは、村で不足している薬を手に入れるため、森を抜けて他の町に行くことを提案しますが、年長者たちは「掟をやぶってはいけない」と行動を咎めます。その態度に疑問を持った彼は、あえて森へ侵入し、赤い植物を持ち帰ります。しかしその夜、赤いローブを身にまとった「何か」が現れるのでした。

シャマランは、『サイン』のときの反響をふまえ、今回はあらかじめ「あるトリック」をきちんと作品に仕掛けていました。それはうまくキマったものの、ところが今度は「スリラーとしてそもそも全体的に展開が少ない」と言う批判の声が。今となっては、淡々とした違和感や不快感を上手に描く監督だと認められていますが、当時はその退屈さを切り取られて評価されていたようです。

主演の、盲目の女性を演じたのは、ブライス・ダラス・ハワード。『アポロ13』(1995)や『ビューティフル・マインド』(2001)などを撮ったロン・ハワード監督の娘で、本作が本格的に初めて映画出演を果たした作品となりました。その友人の真面目な青年は、またしてもホアキン・フェニックスが務めました。

また、精神を病んだキーパーソンのノアを演じたのは、エイドリアン・ブロディです。『戦場のピアニスト』(2002)で、若くしてアカデミー主演男優賞を受賞したのち、『キング・コング』(2005)や『プレデターズ』(2010)などのアドベンチャー大作からウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』まで、さまざまな映画で活躍。『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)を始めとしたウェス・アンダーソン監督作にもレギュラー出演するうちのひとりです。

『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)

フィラデルフィアの郊外に立つ「コープ・アパート」。管理人のクリーブランドは、共用部のプールが汚れていることを発見し、誰かが許可なく利用しているのではと疑っています。しかし、個性豊かな入居者たちに聞いても埒が明かず、深夜、自らパトロールすることに。すると、泳ぐ人影を発見し、注意しようとしたところ、足を滑らせ頭を打ってしまいました。目が覚めると、その傍らには透明感のある見知らぬ女性がいて、不思議なおとぎ話を語りはじめます。そして、”作家”に会わないともといた世界には帰れない、というのでした。最初は、半信半疑ながら協力するクリーブランドでしたが、次第に身の回りに奇妙な出来事が巻き起こるにつれ、物語の世界に深く飲み込まれていくのでした。

シャマラン監督作のうち、最も興行収入を稼げなかった作品となり、また、その年のゴールデンラズベリー賞にノミネートされるという不名誉な事態にもなりました。彼の他の作品で何度もモチーフとして出てくる「役割」という物語が主軸に置かれていますが、その観念的で不合理な話の展開についていける観客は多くはありませんでした。

前作に引き続き、ブライス・ダラス・ハワードがミューズを担っています。共演には、『サイドウェイ』(2004)のポール・ジアマッティや、『バスキア』(1996)や『007 カジノ・ロワイヤル』(2007)のジェフリー・ライト、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)や『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』(2011)のジャレッド・ハリスなどが脇を固めています。

また、いつもは作品内にちらっとカメオ出演することがお決まりのシャマラン自身が、今回は主要キャラクターとして大活躍しています。そしてこれにより、ラズベリー賞の監督賞のみならず助演男優賞まで獲得することになりました。

『ハプニング』(2008)

ある日のニューヨーク。往来していた人々が、突然足を止め、それぞれが自ら命を絶ち始めるという奇妙な出来事がおきます。建設中の高層ビルからは、次々に作業員たちが身を投げだしていました。一方、高校教師エリオットは、授業の途中で校長に呼び出されます。バイオテロの可能性があるため、生徒も教師も自宅待機をせよ、ということです。しかし、次第にその「現象」が、複数の都市で同時に起きているということが分かってきます。彼は、妻のアルマと、友人のジュリアンの家族とともに、まだ「現象」が起こっていない安全な地域に向かうため、避難を開始するのでした。

前作の興行的な失敗にも関わらず、またしても「特に何も起こらない」観念的なSF・ファンタジーとなりました。全てがアパートの中に終始していた『レディ・イン・ザ・ウォーター』とは異なり、一応、次々に場転して逃げ回るパニック映画の体裁を持ってはいるものの、やはり、はっきりとモンスターが出てくるわけでもないという曖昧なストーリー展開には、肯定的な意見は聞かれませんでした。

主演は、マーク・ウォールバーグです。ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ブギーナイツ』(1997)でブレイクし、その後も『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)や『ミニミニ大作戦』(2003)などのエンタメ作で主役を張りました。『ディパーテッド』(2006)ではアカデミー助演男優賞にノミネートもされる一方、『テッド』(2012)などのコメディでも活躍しています。妻のアルマを演じたのは、『(500)日のサマー』(2009)のズーイー・デシャネル。また、友人のジュリアンは、『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993)でルイージを演じ、『ムーラン・ルージュ』(2001)や『ジョン・ウィック』(2014)などでも活躍している『ジョン・レグイザモです。

『エアベンダー』(2010)

その世界では、「火」「水」「土」「気」の4つのエレメントを操る「ベンダー」と呼ぶ者たちが、それぞれ王国を築いていました。火の能力のある民族は水を操ることはできませんが、「アバター」と呼ばれる者のみ全てのエレメントを操ることができ、彼らが精霊と心を通じさせることによって、世界の均衡が保たれていました。しかしある日突然、アバターは姿を消したことを契機に、火の国が各国へ侵攻する戦乱の世の中になっていました。それから100年がたち、水の国の最後のベンダー・カタラは凍った海に沈んでいた氷の塊から1人の少年を発見します。

これまでの映画で、全て自分で考えた物語を映画化してきたシャマランでしたが、今回はじめて、『アバター 伝説の少年アン』という人気TVアニメを原作に据えました。もともとの知名度もあり、興行としては大ヒットしたものの、物語の上辺をさらっただけのうすっぺらい内容は、原作のファンから認められるものではありませんでした。

落ちるところまで落ちたな・・シャマラン・・

しかし、この作品でそんな負の連鎖も底を打ったのでしょうか、シャマラン監督は復活を遂げることになります。小粒なPOVホラー『ヴィジット』(2015)は、どこか迷いが吹っ切れたようなシンプルで潔い映画で、こだわりの強いホラーファンからも概ね好評でした。そして『スプリット』(2016)では、解離性同一性障害のサイコ・クライム・ミステリーかと思いきや、長い間シャマランを見捨てずにファンでいた観客たちに向けた、これまでで最大のサプライズをもたらしてくれました。

タイトルとURLをコピーしました