2021年8月27日、『スペース・プレイヤーズ』が公開されます!
実際にNBAスター選手レブロン・ジェームズを主役に迎え、息子を追ってアニメや映画のキャラクターたちが活躍するバーチャル世界に紛れ込んだ彼が、架空のキャラクターたちと協力して、ルール無用のバスケットボールのゲームに臨むというストーリーです。
マイケル・ジョーダン主演で映画化された『スペース・ジャム』(1996)の後継作に当たります。前作でもコラボレーションしたバッグス・バニーらルーニー・テューンズの面々に加え、今回は、本作の配給会社であるワーナー・ブラザーズが権利を持つ過去の映画のキャラクターたちが、数多く登場することになりました。
そこで今回は、それらのキャラクターたちが活躍する、元ネタの映画をご紹介します!
『アイアン・ジャイアント』(1999)
ずしんずしんと地面を踏み鳴らしならが、大迫力で映画中を駆け回る巨大ロボは、アイアン・ジャイアントです。
舞台は1950年代のアメリカの田舎町。母親と2人暮らしのホーガースは、街のはずれにある変電所で、巨大なロボットを見つけます。金属が主食のようで、鉄塔に噛み付いたところ、感電して動けなくなってしまいました。苦しんでいる姿を観て心が傷んだホ―ガースは、電源を落として救ってあげます。それから、彼らは少しずつ心を通わせ始めました。しかし、ロボットが敵国からの兵器だと判断した政府の機関は、調査官のケント・マンズリーに捜査を指示。抜け目なくずる賢い彼は、ホ―ガースに目をつけ、その周囲を嗅ぎ回るのでした。
2Dアニメもレトロな感じがして、ありだよね〜
孤独な少年とロボットの友情譚というシンプルな寓話です。しかし、それゆえに誰もが涙する感動作に仕上がっています。公開当時はそこまでヒットしなかったものの、ソフト化されてから口コミで人気となり、30年経った今では、すっかりファンの多い作品となりました。ジャイアントは、『スペース・プレイヤーズ』以外にも、スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(2018)にも出演しています。
監督のブラッド・バードは、その後ピクサーに移籍し、『Mr.インクレディブル』(2004)を監督。それまではおもちゃや虫などが主人公でしたが、初めて人物を描いた3Dアニメーションとなりました。そのストーリーテリングは高い評価を受け、その後、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)などの実写映画も監督しています。
『バットマン』(1989)
試合のシーンの観客席には、バットマンの悪役であるジョーカーの姿がありますが、この出で立ちは、1989年公開の、ティム・バートン版の『バットマン』に出てきたときのビジュアルのようです。
犯罪都市・ゴッサムシティでは、コウモリのボディスーツに身を包んだ自警ヒーローが活躍していました。彼は「バットマン」と呼ばれ、犯罪者たちから恐れられる存在です。バットマンの正体を探ろうとするカメラマンのヴィッキーは、秘密を握るゴードン警視総監に取材するべく、実業家のブルース・ウェインが開いたパーティに潜入します。一方、街を牛耳る裏組織の幹部であるジャックは、ボスの愛人を寝取ったことで反感を買い、罠にかけられ通報され、警官と銃撃戦になります。バットマンと戦った彼は、化学薬品の溜まった槽の中へ転落してします。一命をとりとめた彼は、薬剤で真っ白になった顔面に常に口角が上がった笑顔が張り付いてしまいました。そして狂気に取り憑かれて「ジョーカー」と名乗り、悪行を重ね始めます。
緑の髪に赤い口紅が印象的なジョーカー。「陰」のヒーローのバットマンに対して、「陽」のヴィランという、象徴的な存在です。その、コミカルながらも異常で残忍という複雑なキャラクターは、アメコミ界で人気を博しています。本作では、名優のジャック・ニコルソンが演じました。
その後も、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』(2008)のヒース・レジャー版や、『スーサイド・スクワッド』(2016)のジャレッド・レト版、そして『ジョーカー』(2019)のホアキン・フェニックス版など、さまざまなバージョンが登場し、それぞれ大きな話題となっています。
『IT/イット”それ”が見えたら、終わり。』(2017)
観客席には、ペニー・ワイズの姿も。スティーヴン・キングが原作のホラー『IT』に出てくるモンスターです。2017年に新たに映画化されました。
いまから30年前のメイン州の小さな町。ハリケーンが近づく大雨の中、ビルは弟のジョージーにせがまれて、紙でできた船を作ってやりました。ジョージーは喜んで道路の脇道を流れる雨水に浮かべて遊んでいましたが、船は排水溝に流れ落ちます。溝を覗き込むと、そこにはピエロがいて、彼を手招きしていました。船を返してもらおうと手を伸ばしたところ、突如として腕を食いちぎられ、少年は排水溝の中に引きずり込まれてしまいました。それからというもの、町の中で怪しげなピエロが目撃されると同時に、奇妙な現象が起こり始めます。弟の失踪に責任を感じていたビルは、友人たちとともに調査に乗り出すのでした。
禿げ上がった広い額に白塗りのメイクをし、中世の宮廷服のような形の、薄汚れた白い服をまとったペニー・ワイズ。本来は楽しいはずのピエロを装っていますが、ひと目見ただけで、邪悪な存在だとわかります。
演じたのは、ビル・スカルスガルド。スウェーデン出身の俳優で、『ダイバージェントFINAL』(2016)でハリウッドデビューをしました。もともと役者一家だった彼の家族、兄のアレクサンダー・スカルスガルドは『ターザン:REBORN』(2016)や『ゴジラvsコング』(2021)に主演しています。また、父のステラン・スカルスガルドも、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)や『ドッグヴィル』(2003)などの名作から、『パイレーツ・オブ・カビリアン/デッドマンズ・チェスト』(2006)や『マイティ・ソー』(2011)などの超大作まで、数多くの映画で印象に残る脇役を演じています。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
スキンヘッドで全身白塗り、目の周りだけ黒い集団がいます。これは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に出てくるウォーボーイズのようです。
世界大戦後の近未来。核戦争により文明が失われ、世界は荒廃した砂漠で覆われています。もともと警官であったマックスは、幻覚に悩まされながら荒野をさまよっていました。するととつぜん拘束され、イモータン・ジョーをリーダーとする、邪悪な武装集団の砦に連れて行かれました。彼らはこの時代に貴重な水を独占することで、その地域一帯を支配していました。ある日、部下のフュリオサが5人の妻を連れて逃亡したことを知ったジョーは激怒。マックスは、ジョーの部下・ニュークスの「輸血袋」として、その追走に連れ出されるのでした。
ほぼ全編がカーチェイスという映画で、エンジンの爆音が終始鳴り響きます。砂を巻き上げ、炎を吐きながら爆走する装甲車たちの迫力がエキサイティングです。また、釣り竿のような器具を使って敵の車に乗り移るのは、この映画ならではかと思われます。
ウォー・ボーイズは、イモータン・ジョーが抱える武装集団の面々です。核戦争の影響により、定期的に新鮮な血を輸血しなけれ生きられない病気に侵されています。そんな彼らは、ジョーを妄信的に神格視しているため、彼のためであれば平気で命を投げ出します。
『時計じかけのオレンジ』(1971)
『時計じかけのオレンジ』に登場する「ドルーグ」の姿も見えました。
近未来のロンドンで、アレックス率いる4人組の不良グループは、毎晩毎晩、街に繰り出しては、無差別に暴力や強姦を繰り返す、卑劣な行動を繰り返していました。ある日、強盗に押し入った際、仲間たちに裏切られ、アレックスだけが警察に拿捕されることになります。服役中も全く反省していなかった彼は、刑期を短くするため、内務大臣が手動する人体実験に参加することになります。それは、まぶたを固定して無理やり目を開かせ、ひたすらに残虐な映像を見せ続ける、というものでした。
最初のシーンで横暴を尽くす不良グループが「ドルーグ」です。紳士的にシルクハットをかぶり、白いシャツにサスペンダー、白いパンツに黒いブーツ、腰の周りにはアンダーカバーをつけ、そしてステッキを持っています。
名前は聞いたことある!でも古くなーい?
監督は、スタンリー・キューブリックです。先見性があり本格的なSF表現が、50年経った今見ても色褪せない感度の高さを保つのは、監督作『2001年宇宙の旅』(1968)然りです。また、そこかしこに風刺を織り交ぜる意地の悪さには賛否両論あることでしょう。一方で、直接的で過激な暴力や性描写は、その後の映画表現の多様化に大きく貢献することになりました。