2021年8月11日、マーベル初のアニメーションシリーズ、『ホワット・イフ…?』が、Disneyプラスにて配信されました!
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、マーベル・コミックスを原作とした、同一の世界における、ヒーローアクション映画やドラマの一連のシリーズで、長編映画やドラマシリーズが数多く発表されてきています。
本作は、「我々の宇宙では起こらなかった出来事」を描いたストーリーであり、これまでさまざまな映画で活躍してきたキャラクターたちが再登場。出会うはずのなかった人たちが交差し、新たな展開を見せてくれます。
第一話では、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)に登場したエージェント・カーターが、「もしスティーブの代わりに超人血清を打っていたら」という世界が描かれました。
でもさー、MCUのシリーズって、かなりあっちこっちに広がってて、正直どっから観たらいいのかわからないよー!
膨大な数になったMCUシリーズに手を出すきっかけとして、監督からアプローチするというのはいかがでしょうか。そこで今回は、過去にMCUシリーズを手掛けた監督の別作品の中で、おすすめをご紹介していきます!
『イエスマン”YES”は人生のパスワード』(2008)
銀行員のカールは、融資の審査にもいつも「ノー」を出す、融通の効かない貸付担当でした。プライベートでは数年前の離婚を未だに引きずってふさぎ込んでおり、友人からの楽しそうな誘いでも常に断る毎日を過ごしていました。そんな彼はある日、古い友人のニックにセミナーを紹介されます。それは、あらゆることに「イエス」と言うことで人生を変えられる、という怪しげなものでした。しかしその帰り道、ホームレスから車に乗せてほしい、と言われて、試しに「イエス」と応じてみたカール。その結果、携帯電話や持ち金を要求のまますべてを差し出してしまい、しかもガス欠になって車は停止、道端で途方にくれることに。しかし、そんな彼の前に、アリソンという理想の女性が偶然現れ、良い仲になることができました。この体験以降、すべての依頼や誘いに「イエス」と答えることを決めた彼でしたが、次第にその状況はエスカレートしていきます。
『マスク』(1994)や『ライアーライアー』(1997)のジム・キャリーが主演ということで、コメディタッチの作品ではありますが、幸せな人生を送るためのヒントを教えてくれる、ポジティブなヒューマンドラマでもあります。ガールフレンドのアリソン役には、『(500)日のサマー』(2009)でも個性的な魅力を振りまいていたズーイー・デシャネル。カールの友人役で『アリ―/スター誕生』(2018)のブラッドリー・クーパーが出演しています。
監督は、ペイトン・リード。MCU作品では、『アントマン』(2015)を担当しました。その優しい笑いを生み出す空気感には、作品を超えて通じるものがあるのではないでしょうか。
『NY心霊捜査官』(2014)
ニューヨーク市警の捜査官・ラルフは、ある日DVの通報を受けて現場に急行。暴力を奮っていた夫を逮捕します。また、別の日には、動物園で自分の小さな子供をライオンの檻に投げ入れるという児童虐待事件が発生。逮捕された母親のジェーンは、聞いたことのない奇妙な言語を発し、不可解な言動を繰り返します。その現場には、パーカーをかぶった不審な人物がいましたが、取り逃がしてしまいます。その後、地下室で超常現象が発生するという家に向かった彼は、男性の遺体を発見します。それはジェーンの夫でした。また、調べを進めると、彼にはイラク戦争に派遣された過去があり、なんと暴力夫とパーカーの不審者と同じ部隊に入っていたのでした。別々だと思っていた事件が繋がり始めます。
邦題がどこかB級の香りがしますが、実際にはそんなことはなく、警察の捜査の場面をある程度リアルに描きながらも、本格的なホラーの表現も取り入れているという逸品です。
主演はエリック・バナ。『ブラックホーク・ダウン』(2001)や『トロイ』(2004)などで活躍、スティーブン・スピルバーグ監督の『ミュンヘン』(2005)では主演に抜擢されました。
監督は、『ドクター・ストレンジ』(2016)を担当したスコット・デリクソンです。『ヘルレイザー ゲート・オブ・インフェルノ』(2000)や『エミリー・ローズ』(2005)などのホラーで監督をこなし、キアヌ・リーヴス主演の『地球が静止する日』(2008)といった個性的なSFも制作しました。新作の『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』(2021予定)はホラーテイストが強まる、という噂もあり、適任ではないかと思われます。
『トランスポーター』(2002)
フランクは、ワケありな荷物を、自動車を使って目的地まで確実に届ける、「運び屋」という裏稼業をしています。「質問はしない」「依頼品を開けない」というルールのもと、高額な報酬をもらって仕事を請け負っていました。ある日、大きなバッグを運ぶ仕事の最中、車のタイヤがパンクしてしまいます。修理中にバッグが動いていることに気づいた彼は、ルールを破って中身を見てしまいます。それは拘束された女性でした。彼女はライと名乗り、その組織が人身売買を行っていることを打ち明けます。正義感に駆られた彼は、組織と対立することになるのでした。
『レオン』(1994)や『フィフス・エレメント』(1997)のリュック・ベッソンが制作と脚本を手掛けた作品で、独特な湿度が感じられるアクション映画です。主演は皆さんご存知のジェイソン・ステイサム。ガイ・リッチー監督の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)でデビュー後、本作の大ヒットでアクション俳優として大きくブレイク。その後も『アドレナリン』(2006)や『メカニック』(2011)、『ハミングバード』(2013)など、数多くの小粒なアクション映画に主演を続けています。
『エクスペンダブルズ』とか『ワイルド・スピード』のシリーズにも出てる!
監督のルイ・レテリエが担当したのは、MCU2作目の『インクレディブル・ハルク』(2008)です。当時のハルク役はエドワード・ノートンでしたが、脚本に口を出しすぎたことで制作側と折り合いがつかず、その後はマーク・ラファロにバトンタッチしました。ちなみに、前述したエリック・バナは、アン・リーがMCUとは関係なく単品として監督した『ハルク』(2003)に主演しています。
『オリエント急行殺人事件』(2018)
名探偵・エルキュール・ポアロは、中東での仕事を終え、ヨーロッパを横断する豪華な寝台列車であるオリエント急行に乗り込みます。その車内で彼は、アメリカ人の富豪・ラチェットから、脅迫状を受け取っているので自分の身を守って欲しい、という依頼を受けますが、彼の人相が気に入らなかったポアロはそれを断ります。しかし翌日、そのラチェットが死体として発見されます。殺人事件として捜査を行うポアロでしたが、調べを進めていくと、容疑者全員にアリバイがあることがわかるのでした。
アガサ・クリスティの小説を原作に持つ作品であり、これまでにも何度か映像化されてきました。有名どころだと、シドニー・ルメットが監督し、アルバート・フィーニーが主演をした『オリエント急行殺人事件』(1974)があります。ショーン・コネリー、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマンといった豪華な面々が共演しました。
そして今回も、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリーといった人気者たちが一同に会しています。
監督と主演のポアロ役を引き受けたのが、ケネス・ブラナー。シェイクスピア俳優として有名ですが、『パイレーツ・ロック』(2009)や『TENETテネット』(2020)といった現代劇でも圧倒的な存在感を残す役者です。そんな彼が監督をしたのが、『マイティ・ソー』(2011)です。アスガルドの王であるソ―を重厚に描きました。
『ノマドランド』(2020)
不況のあおりで、住んでいた街ごと破綻してしまったファーン。街を出た彼女は、死別した元夫との思い出が詰まった、ぼろぼろのバンの中で車上生活を始めます。アマゾンの物流倉庫の仕分けの仕事や、大きな公園の管理人など、年寄りでも雇ってくれるような短期労働を探してアメリカ中を転々としながら、一方で同じようにノマド生活をしている人たちとの交流を深めていくのでした。
実際に車上生活をしている人たちをキャストに迎えた、ほとんどドキュメンタリーのようなフィクション映画です。全編が自然光によるロケで、アメリカ各地の美しい映像が続きます。
主演はフランシス・マクドーマンド。『ファーゴ』(1996)『スリー・ビルボード』 (2017)に続き、本作で3度目のアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。これは女優賞としては単独のトップです。
また、作品賞と監督賞もW受賞したのが、クロエ・ジャオ監督です。ナチュラルで叙情的な映像作家である彼女が、今後公開予定の新シリーズ『エターナルズ』(2021予定)を監督するというニュースには驚きました。どのような化学反応が起きるのか、楽しみです。