2021年8月13日、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』が公開となります!
DCコミックスの悪役が大集合したアクション映画、『スーサイド・スクワッド』(2016)の続編です。
マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインが引き続き登場しますが、他のメンバーの多くは一新。また、今回の監督は、MARVELでは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを手掛けるジェームズ・ガンということで、さらにコメディ色が強くなりました。
マーベル作品もDC作品もどっちも監督するなんてすんごいね!
そこで今回は、印象的な悪役が出てくる映画をご紹介します!
『ノーカントリー』(2007)
まず最初に、『ノーカントリー』のご紹介です。
ベトナム帰還兵で屈強な男・モスは、テキサス州の荒野で殺人現場に遭遇しました。どうやら、麻薬取引中のトラブルで銃撃戦が起き、相打ちになって全員死亡してしまったようでした。現場に200万ドルの札束が詰まったケースを発見し、まんまと自分のものにした彼ですが、それが原因で両方の組織から追われる身となってしまいました。実はケースには発信機がついており、危険な殺し屋・シガーが、位置情報をたよりに近づいてきていました。
本作に登場する悪役は、サイコパスな殺し屋・シガーです。牛を一発で仕留められるという、特殊なエアガンのような武器を使って、無軌道に次々と殺戮をおこないます。その風貌は、奇妙なマッシュルームカットに、感情の見えない無表情が張り付いた顔という異様なもので、加えて、ときどき魅せるにやーっとした笑顔が、これまた不気味です。
演じるのは、ハビエル・バルデム。スペイン出身の俳優で、『夜になる前に』(2000)でハリウッドに進出。その迫力のある容貌を武器に、『007 スカイフォール』(2012)や『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)などでも印象に残る悪役を務めています。
監督はコーエン兄弟。第80回アカデミー賞では、ハビエル・バルデムが助演男優賞を見事に受賞したほかにも、作品賞と監督賞を受賞しました。『オー・ブラザー!』(2000)や『レディ・キラーズ』(2004)のような、くすくす笑えるコメディを得意とする作風ですが、一方では『ファーゴ』(1996)や『バーバー』(2001)のように、独特の「ゆるさ」があるクライム・サスペンスも得意としています。
『コン・エアー』(1997)
つづいてはアクション映画、『コン・エアー』です。
元軍人のキャメロンは、妻を助けるために、絡んできた酔っぱらいのチンピラを誤って殺してしまい、刑務所に収監されていましたが、模範囚だったということもあり、早々と仮出所を迎えました。自宅へ戻るために飛行機に乗せられますが、そこは凶悪犯を移送する専用の貨物機でした。その中にいたサイラスという男が反乱を起こし、機をハイジャックします。関係ない囚人は降ろされることになりましたが、キャメロンは正義感から飛行機に残り、乗務員を救うために戦うのでした。
『アルマゲドン』(1998)や『パイレーツ・オブ・カリビアン』(2003)などのプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが全盛期に制作したアクション大作です。主人公を務めるのは、超大作からB級映画まで、なんでもこなすニコラス・ケイジ。
そんな本作には、クセの強い悪役が2名出演しています。
2人とも紹介するの?どっちかにしろよ!
1人目は、天才犯罪者・サイラスを演じる、ジョン・マルコヴィッチ。冷静で残忍な役柄を起用にこなしました。『二十日鼠と人間』(1992)や『ザ・シークレット・サービス』(1993)などで個性的なを演じてきましたが、何とっても代表作は、彼の名前を冠した『マルコヴィッチの穴』(1999)でしょう。彼の脳内に入り込む、という奇妙な話で本人役を演じました。
2人目は、非常な危険な殺人鬼・ガーランドを演じた、スティーヴ・ブシェミです。こちらも名脇役として数多くの映画に参加してきた俳優。クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(1992)のMr.ピンクで世に出た彼は、『ゴーストワールド』(2001)や『ビッグ・フィッシュ』(2002)、『アイランド』(2005)などで、物語の鍵を握る登場人物を演じました。前述のコーエン兄弟の映画の常連でもあります。
『ディアボロス/悪魔の扉』(1997)
お次はホラーテイストの作品、『ディアボロス/悪魔の扉』です。
敏腕弁護士のケヴィンは、ニューヨークに事務所を構える大手弁護士事務所からスカウトされます。移住することを決めた彼は、新たな環境でもその実力をいかんなく発揮します。妻のメアリーも、当初は都会の豪華な暮らしを喜んでくれていました。ところが、彼女は次第に精神が衰弱し、幻覚が見えると言い出します。その背景にはどうやら、事務所の経営者であるミルトンの影があることに気づき始めます。
主演の、聡明ではあるが虚栄心にかられてしまう弁護士を演じるのは、『マトリックス』(1999)や『ジョン・ウィック』(2014)のキアヌ・リーヴス。対する妻の役は、『モンスター』(2003)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロンがキャスティングされています。
この2人、『スウィート・ノベンバー』(2001)でも共演してたよね〜
そして、本作の悪役は、なんといっても、アル・パチーノが演じるミルトンです。映画終盤に彼が繰り広げるスピーチがありますが、その狂信的で迫力のある語り口調は、他の誰にも真似のできないものでしょう。ミルトンがいったい何だったのか、という本作の謎にも、大いに説得力を与えてくれます。
アル・パチーノは『ゴッドファーザー』(1972)でブレイクし、『スカーフェイス』(1983)、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992)、『エニイ・ギブン・サンデー』(1999)などなど、いつの時代でも変わらず、エネルギッシュで扇動的な演技を見せてくれます。80歳を超えた現在でも一線で活躍中です。
『悪の教典』(2012)
続いては日本映画、『悪の教典』のご紹介です。
市立高校で英語を教えている蓮実聖司は、生徒や親からも人気、同僚からも信頼されている教師でした。しかしそれらはすべて表の顔であり、彼の本性はサイコパスで、それまでにも、その優れた頭脳を使って他人を上手にコントロールし、複数の完全犯罪を行ってきたという経緯がありました。しかしある日、ふとした失敗から、その全貌が明るみに出てしまいそうになった彼は、それらの問題を解決するために、学園祭の準備のために集まったクラスの生徒全員を惨殺することを計画するのでした。
「このミステリーがすごい!」で1位を獲得した同名の小説が原作です。作者の貴志祐介は『黒い家』(1997)で日本ホラー小説大賞を受賞しますが、その後もジャンルに囚われない作品を発表し続けてきました。『硝子のハンマー』(2004)を始めとするシリーズは、『鍵のかかった部屋』として、大野智主演のテレビドラマにもなりました。
本作の悪役、蓮実を演じるのは、伊藤英明。爽やかで格好良い昼の顔と、感情を持たない目に光のない裏の顔を、見事に演じ分けました。映画後半、「先生信じてたんだよ」と女子生徒たちから言われた後の表情は一見の価値ありです。
脇役には、山田孝之や吹越満などの実力派がそろいましたが、生徒役にも、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、松岡茉優、伊藤沙莉、岸井ゆきの、山崎紘菜など、今ではそれぞれが主役を張るメンバーがそろっているところは見どころです。
『レオン』(1994)
最後は、このお題ではランクインすることが必須でしょう、『レオン』です。
ニューヨークに住む殺し屋、レオン。その暗殺スキルは卓越しており、どれだけ困難な任務であっても、寡黙に痕跡を残さず遂行してきました。友人と言えば大切にしている観葉植物くらいですが、同じアパートに住む少女・マチルダとは、なんとなく会話をかわす仲でした。ある日、麻薬の運び屋であったマチルダの父親が預かった商品を中抜きしたことがばれ、組織の人間たちがアパートに乗り込んできます。抵抗した父親は、家族もろとも首領のスタンフィールドに惨殺されましたが、たまたま不在にしていたマチルダは難を逃れ、とっさにレオンに助けを求めるのでした。
悪役のスタンフィールドは、麻薬組織に属していますが、その本職はなんと麻薬取締局の捜査官という、とんでもない悪徳刑事です。私欲のためには子供も殺すこともいとわない残虐な性格の持ち主ですが、持ち前の観察力や洞察力を駆使する抜け目ないところがあるのがやっかいです。
演じるには、ゲイリー・オールドマン。『JFK』(1991)でも犯人のオズワルドを演じ、その後も『トゥルー・ロマンス』(1993)や『エアフォース・ワン』(1997)、『ロスト・イン・スペース』(1998)などでも悪役を担当。彼がエキセントリックにぶるぶる震えながら激昂するシーンは、他の人には替えがききません。ただし、彼としては悪役ばかり演じるのは本意ではないようで、近年では『ハリー・ポッター』シリーズやクリストファー・ノーラン監督版の『バットマン』シリーズなどでは、主人公を助ける役柄を担当しています。
主役のレオンを演じたのは、フランス出身の俳優ジャン・レノです。『ミッション:インポッシブル』(1996)や『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)などのハリウッド大作から、ヨーロッパの小さな映画まで、かなり幅広く現在でも活躍しています。また、マチルダはナタリー・ポートマンが演じています。『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)ではアミダラ王女を演じ、『ブラック・スワン』(2010)でアカデミー主演女優賞を獲得。2022年に公開される、マイティ・ソーシリーズの新作に出演が決まっています。