2021年7月2日、『コジラVSコング』が公開されました!
ゴジラは、日本発祥の人気キャラクターで、本多猪四郎監督『ゴジラ』(1954)でデビュー後、国内でこれまで29本の実写映画が作られています。近年では庵野秀明監督による『シン・ゴジラ』(2016)が大ヒットしました。
また、海外では、ローランド・エメリッヒ監督による『GODZILLA』(1998)で初めて全編リメイクされましたが、この作品においてのゴジラの造形には、賛否両論がありました。
前傾してるし頭でかいし、なんかただのトカゲだったなあ〜
その後、レジェンダリー・ピクチャーズとワーナー・ブラザーズの共同制作で、『GODZILLAゴジラ』(2014)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)が公開。このシリーズは「モンスターバース」と呼ばれる世界線を成しています。
一方のコングは、アメリカ映画『キングコング』(1933)でこの世界に登場。『タワーリング・インフェルノ』(1974)で知られるジョン・ギラーミン監督により、舞台を現代に移したリメイク『キングコング』(1976)が作られ、2005年には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを制作したビーター・ジャクソン監督が、設定をオリジナルに近づけて再度リメイク。
そして、『キング・コング:髑髏島の巨神』(2017)により「モンスターバース」に合流し、今回の直接対決になりました。
過去を遡ると、ゴジラとコングは、東宝配給の『キングコング対ゴジラ』(1962)で、一度、過去に戦っています。しかし、その際には決着がつきませんでした。あれから半世紀、今回はどんな戦いっぷりなのか、まだ観てない方は必見です。
そこで今回は、巨大生物が出てくるパニック映画をご紹介します!
『ジュラシック・パーク』(1993)
まず最初は、王道中の王道、『ジュラシック・パーク』です。
コスタリカ沖の孤島に作られた「ジュラシック・パーク」。そこでは化石から取り出したDNAを利用し、生きた恐竜を復元していました。パークに招待された古生物学者のアランとエリーは、一般公開を前に、パークの安全性を保証して欲しい、と依頼されます。しかしその裏では、恐竜の胚子を盗み出そうと企む従業員のネドリーが、勝手にセキュリティを解除したことにより、危険な肉食獣が檻から脱走してしまいました。
説明は不要でしょう、世界的に著名なスティーブン・スピルバーグ監督の代表作です。
スピルバーグ映画の特長のひとつに、スムーズに視線を誘導するカメラワーク、というものがあります。通常だとカットを分けないと表現できないシーンを、特殊効果を使うことで、無理やりワンカットに納めてしまうのです。
本作でも、流れるカメラワークの中に恐竜たちが自然に映り込み、彼らがほんとうに生きているかのような説得力を持たせることに成功しました。この恐竜たちは、着ぐるみを機械で制御する技術・アニマトロニクスによって、見事に再現されたものです。また、今では当たり前になっているCG技術が、初めて商業映画で大々的に利用され、このことは映画の歴史の大きな転機となりました。
その後も、『ロスト・ワールド』(1997)、『ジュラシック・パークⅢ』(2001)、『ジュラシック・ワールド』(2015)、『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(2018)といった続編が作られています。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)
続いては、『クローバーフィールド/HAKAISHA』のご紹介です。
ニューヨークで働くロブは、日本への転勤を命じられます。仲間たちは彼に内緒で送別パーティを計画し、ビデオメッセージを集めます。そして、何も知らずにやってきたロブへのサプライズは成功。友人のひとりであるハッドは、パーティ中もずっとカメラを回し続けていました。すると突然、巨大な地震が起こり部屋が停電に。屋上に上がってみると、遠くで何か大爆発が起きていました。急いで建物から出たところに、巨大な隕石のようなものが飛んできて、地面に激突します。それは自由の女神像の顔でした。そして、何やら巨大なものの足音が近づいてくるのでした。
いわゆる「ファウンド・フッテージ」と呼ばれる、「たまたま撮れてしまった衝撃映像を入手した」という設定の映画です。ホームビデオで撮影したように加工した映像のため、あえて手ブレが多く、ピントも合いませんし、シーンも飛び飛びになってしまいます。このような演出は、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)や『パラノーマル・アクティビティ』(2007)など、低予算ホラー映画に多く見られます。相性が良いんですね。ただし今回はそれを逆手に取って、スケールの大きな怪獣映画に活用したことで、見たことのない映像が出来上がりました。
この怪獣、手足が長くて気持ちわるかった!
プロデューサーはJ・J・エイブラムス。『ミッション・インポッシブル』シリーズや『スター・トレック』シリーズ、『スター・ウォーズ』の最新三部作でも制作に関わる、エンターテインメント大作を次々に生み出すヒットメーカーです。また、監督は『モールス』(2010)や『猿の惑星:新世紀』(2014)などのマット・リーヴス。最新作の『ザ・バットマン』でも監督に抜擢されました。
『グエムル-漢江の怪物-』(2006)
次にご紹介するのは、韓国発のパニック映画、『グエムル-漢江の怪物-』です。
ソウル中心部に流れる川、漢江の川岸に、突如として巨大な怪物が上陸してきます。それは逃げ惑う人々を次々に餌食にして大暴れし、ひとりの少女をさらってどこかへ消えます。その少女の父親カンドゥは、弟のナミルと妹のナムジュ、父親のヒボンと伴に、娘の捜索を始めます。しかし彼らは、未知のウィルスを持っているとされた怪物と濃厚接触したため、国の機関からは追われる身となるのでした。
通常の怪獣映画は、序盤ではその一部のみが見え隠れするだけで、謎を含んだまま物語が進み、ついに盛り上がったところで満を持して登場することが多いのですが、本作では、インド象くらいの大きさの怪物が、最初からはっきりと出てきてしまうところが、他にはないユニークな特長だと言えます。
監督のボン・ジュノは、『ほえる犬は噛まない』(2000)、『殺人の追憶』(2003)など、不気味ながらも滑稽な怪作を次々に発表し、『スノーピアサー』(2013)ではハリウッドに進出。そしてなんと、2020年のアカデミー賞で、『パラサイト 半地下の家族』(2019)により、アジア映画としては初めて作品賞と監督賞を受賞しました。
父親役を演じたソン・ガンホは、韓国では国民的俳優と称される名優です。ジュノ監督の映画の常連である一方で、『JSA』(2000)、『乾き』(2009)などといった、パク・チャヌク監督作でも主役を張っています。また、妹役のペ・ドゥナは、『リンダ リンダ リンダ』(2005)や『空気人形』(2009)などの日本映画にも出演し、現在も個性派俳優のひとりとして活躍中です。
『MEG ザ・モンスター』(2018)
お次は、巨大ザメが大暴れする、『MEG ザ・モンスター』のご紹介です。
海洋研究所「マナ・ワン」では、マリアナ海溝の更に下の、人類未踏の深海の探査を行っていました。最新鋭の潜水艦が調査地点にたどり着くと、海底だと思われていたものは実は窒素の層であり、その奥には水温の高い、特殊な生態系の環境が広がっていました。世紀の発見に喜ぶ一同でしたが、そこに巨大な何かが近寄ってきて体当たりされ、潜水艦は故障して浮上できなくなってしまいました。そこで、潜水レスキューのプロである、一度は引退したテイラーが呼び寄せられることになりました。
巨大モンスターといえば、サメ、というジャンルも確立されていて、超大作からB級まで、ありとあらゆる種類の映画がそろっています。スピルバーグの出世作、『ジョーズ』(1975)に始まり、『ディープ・ブルー』(1999)、実話が原作の『オープン・ウォーター』(2004)といった大作から、とにかくでかい『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』や、地上に現れる『シャークネード』(2013)、悪霊と化した『ゴーストシャーク』(2013)といった作品まで、とにかく多様性に富み、挙げるときりがありません。
ゴースト・・さすがB級映画、開き直ってるな・・
その点本作は、興行収入が『ジョーズ』を抜いて、サメ映画の中で歴代一位になった、大ヒット作ですので、安心して観られるのではないでしょうか。監督も、『ナショナル・トレジャー』(2004)などの大作アドベンチャーを担当したジョン・タートルトーブです。
この映画に特長を挙げるとすれば、主演が『トランスポーター』(2002)や『エクスペンダブルズ』(2010)など、数多くのアクション映画に出演してきたジェイソン・ステイサムということではないでしょうか。もともと武闘派の彼は、これまで出演してきた作品と同様に、巨大ザメに真っ向から生身で立ち向かうのです。思わず笑ってしまいます。
『シンクロナイズドモンスター』(2016)
最後は、ちょっと奇妙なカナダ発のコメディ、『シンクロナイズドモンスター』です。
グロリアは、酒浸りで怠惰な生活を続けたせいで、同棲中の恋人にも愛想を尽かされ、アメリカの田舎町の実家に戻ることになりました。もともとの地元の友人、飲食店を経営しているオスカーは、ぼろぼろの彼女に手を差し伸べ、自分の店で働くことを提案します。そんな中、地球の裏側の韓国・ソウルに巨大怪獣が出現しました。
なぜだかわかりませんが、彼女が近所の公園に足を踏み入れると、韓国に怪獣が現れてしまうことになっています。そして、その動きが彼女と同期しているので、酔い潰れて公園でふらふらしたことにより、ソウルの街に多大な被害を与えてしまうのですよね。また、彼女が他の男と仲良くなって嫉妬したオスカーが公園に立ち入ると、今度は巨大ロボットになります。その2人の痴話喧嘩によって、街はめちゃめちゃになってしまう危険にさらされます。
この、スケールが大きいようで小さいところが、この映画の面白いところです。パニック映画部分はあくまでも結果として起きている現象であり、あくまでも一人の女性が悩みながらどん底から再生していくヒューマンドラマに本質が置かれています。
主演のアン・ハサウェイは、『プラダを着た悪魔』(2006)や『マイ・インターン』(2015)など、等身大なキャリアウーマン役のイメージが強い一方で、『ダークナイト・ライジング』(2012)のキャットウーマンや、『レ・ミゼラブル』(2012)のファンティーヌなど、エンタメ大作で重要な役どころを担うこともできる、全方向形の俳優です。本作では、無職でアル中の「ダメ女」をキュートに演じました。